
東北大学大学院生命科学研究科
生態発生適応科学専攻 土壌微生物分野
特任教授 南澤究
ようこそ.
新着情報
2023年3月 南澤究教授の招待講演がYoutubeに公開されました。宮田 満のバイオ・アメイジング 『土壌微生物で温室効果ガスを削減する「クールアース」とは?』動画 >
2023年3月 NHK「サイエンスZERO」の再放送が決定!南澤究教授が出演します。
初回放送:3月12日(日)午後11:30~午前0:00・3月18日(土)午前11:10~午前11:40
2023年3月16日発売『最先端の研究者に聞く 日本一わかりやすい2050の未来技術』に南澤究教授のインタビュー記事が掲載されました。 ISBN 978-4833424882
南澤究教授のムーンショットプロジェクト公式ウェブサイトが開設!
研究内容
根粒菌の多様性・生活環・分子基盤の研究、土壌微生物としての環境適応の研究
地球生態系は様々な生物の相互関係の上に成立しています。
当分野は、根粒菌、根圏微生物、エンドファイトといった植物と関係の深い微生物、特に共生窒素固定細菌を主な研究対象としています。
それらについて、宿主植物との共生機構や生存戦略の多様性及びそれを支える分子基盤の解明を、分子生物学、微生物生態学、土壌学、更にはゲノム科学の手法を駆使して進めることにより、
地球環境の恒常性の理解と食糧環境問題の解決に貢献する環境バイオ研究を目指しています。
根粒菌はマメ科植物と共生し窒素固定を行うグラム陰性の有用土壌細菌です。根粒菌ゲノムの最大の特徴は共生領域がまとまっている共生アイランドにあります。特に、ダイズ根粒菌でもあるBradyrhizobum属は、共生・窒素固定・脱窒・水素酸化など多様な物質循環機能を持つ土壌低栄養細菌でもあり、土壌や根 圏の環境においても重要な働きをしています。そこで、Bradyrhizobum属細菌の共生システムと土壌生存戦略をゲノム構造との関係で明らかにする研究を行っています。
根粒菌は共生窒素固定細菌ですが、同時に脱窒作用 (異化的硝酸還元: NO3− → NO2−→ NO → N2O → N2)を示します。一部のダイズ根粒菌がN2O還元酵素遺伝子(nosZ)までの全脱窒遺伝子を保有し、ダイズ根粒または根圏根粒菌はN2Oを活発に取込むことが分かり、地球温暖化およびオゾン層破壊を行うN2Oガスの土壌からの放出を抑えます。土壌からのN2O発生削減のために、微生物生態学の新規の手法を用いて研究を進めています。
非マメ科植物は、根粒はつくりませんが、細胞間隙に種々の窒素固定細菌が見い出されています。植物(phyte) 体内(endo)に棲んでいる微生物なのでエンドファイトと呼ばれています。最も面白いのは、低窒素条件で水稲根内に生息しているメタン酸化菌が窒素固定を行っていることです。このメタン酸化窒素固定菌は実は根粒菌の仲間で、その生活スタイルや利用が期待されます。